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企業・食べ物 / ポテトチップス

ポテトチップスは、客のクレームへの仕返しから生まれた

「フライドポテトが厚すぎる」と何度も皿を突き返す客。腹を立てた料理人が、嫌がらせのつもりで紙のように薄く切ったのが始まりだった、と言われます。

Since:1850年代〜Evidence:3

舞台は19世紀半ば、アメリカ・ニューヨーク州の保養地サラトガ・スプリングス。湖のほとりのレストランで、ひとりの客がフライドポテトに文句をつけました。「厚すぎる。しっとりしすぎている」。厨房に戻された皿を見て、料理人は少し薄く切り直して出します。それでも客は納得しません。

何度も突き返されるうちに、料理人の堪忍袋の緒が切れました。フォークで刺せないほど薄く、向こうが透けるほどに芋を切り、からからになるまで揚げて、塩をたっぷり振って出してやったのです。困らせてやろうという、ちょっとした仕返しでした。

ところが、客はそのパリパリの一皿を大喜びで平らげました。噂はたちまち広まり、店の名物「サラトガ・チップス」になった。これが世界中で愛されるポテトチップスの始まりだ、というのが、よく知られた誕生秘話です。

話によっては、文句をつけた客は大富豪のコーネリアス・ヴァンダービルトだったとも言われます。わがままな大金持ちと、意地っ張りな料理人。できすぎた組み合わせが、この物語をいっそう面白くしています。

  • 名前の残る料理人

    この話の料理人は、ジョージ・クラムという名で語られています。実在の人物で、のちに自分の店を構えた腕利きの料理人だったとされます。

  • 「サラトガ・チップス」という呼び名

    薄く揚げたポテトは、19世紀のアメリカで「サラトガ・チップス」の名で知られるようになったとされます。地名が料理名に残っていること自体が、この町との深い縁を物語っています。

  • 仕返しにぴったりの形

    フォークで刺しにくく、厚さへの文句が言えないほど薄い。ポテトチップスの形そのものが、「嫌がらせで作った」という筋書きにうまく合っています。

クラムの仕返しの話は、ポテトチップス誕生の物語として広く語られていますが、後の時代になってから広まった部分が多いとされます。客がヴァンダービルトだったという点は、とくに裏付けに乏しい脚色だと考えられています。クラムではなく、同じ店で働いていた身内の女性が考案したという話も伝わっています。

そもそも、じゃがいもを薄く切って揚げる料理は、それ以前からあったとされます。19世紀初めのイギリスの料理書に、薄切りのじゃがいもを揚げる作り方が載っているという指摘もあり、「ひとりの料理人が一夜で発明した」というより、各地で似た料理が作られていたと見るのが一般的です。サラトガの店は、それを名物として有名にした場所だった、というあたりが落ち着きどころのようです。

ちなみに、日本でポテトチップスが量産品としてお店に並ぶようになったのは、1960年代ごろとされます。のり塩やコンソメなど、海外にはあまりない味つけが次々に生まれ、今ではすっかり日本独自の進化をとげたお菓子になっています。

さて、あなたはどちらを信じますか。この噂、誰かに話したくなったら