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科学・生活の俗説 / 食べてすぐ寝る

食べてすぐ寝ると、牛になる

満腹になって、そのままごろりと横になる。至福の瞬間に、きまって飛んでくるのが「牛になるよ」のひと言でした。

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日曜日の昼下がり。お昼ごはんをたっぷり食べて、おなかはぱんぱん。窓から差し込む日差しが心地よく、畳の上にごろりと寝転がります。まぶたが重くなってきたそのとき、台所から母の声が響きました。「食べてすぐ寝ると、牛になるよ」。

子どものころ、この言葉を本気で怖がった人もいるのではないでしょうか。寝ている間に頭から角が生え、体が黒と白のまだら模様に変わっていく。朝起きたら、しっぽが生えているかもしれない。そんな想像をして、慌てて体を起こした記憶がある人も少なくないはずです。

言い伝えの根拠として語られるのが、牛の暮らしぶりです。牛は草を食べると、ゆったりと寝そべって、口をもぐもぐと動かし続けます。食べては横になり、また口を動かす。その姿が、食後にだらしなく寝転がる人間と重なって見えたのかもしれません。食べてすぐ寝る人は、だんだん牛のようにのろのろとした体つきになる、という話もささやかれます。

もちろん、本当に牛になった人の話は聞きません。それでも、満腹で横になるたびに、あの言葉が頭をよぎってしまう。言い伝えの力とは、不思議なものです。

  • 寝そべって口を動かす牛の姿

    牛は食後に横たわり、飲み込んだ草を口に戻してかみ直す「反すう」をすることで知られます。食べて寝転がる姿がそのまま人間に重ねられ、言い伝えに説得力を与えています。

  • 食後の体の重さ

    食べた直後に横になると、おなかが苦しい、胸やけがするといった感覚を覚える人もいます。体で感じる違和感が、「よくないことらしい」という印象を後押ししています。

  • 全国で通じる決まり文句

    この言い回しは地域を問わず広く知られ、多くの家庭で使われてきたとされます。誰もが一度は聞いたことがある言葉だからこそ、自然と受け継がれてきました。

食べてすぐ寝ると牛になる、という言い伝えは、もちろん文字どおりの意味ではありません。食後すぐに寝転がるのは行儀が悪い、怠けてはいけないという、しつけのための戒めとして使われてきたものと考えられています。牛がのんびりしている動物の代表として選ばれ、たとえに使われたのだろうと言われます。

体への影響については、さまざまなことが言われています。食後すぐに横になると、人によっては胃の中身が逆流しやすく、胸やけの原因になるという説明がある一方で、食後に少し体を休めること自体は消化を妨げないという見方もあります。体の向きや休み方によって感じ方が違うとも言われ、一概には言えないようです。気になる症状がある場合は、医師に相談するのが確かだとされます。

ちなみに、牛は横になって休んでいる時間が意外に長い動物だと言われます。寝そべりながら反すうをして、草をじっくりと消化していくのです。人間から見ると怠けているようでも、牛にとっては大切な仕事の時間。「牛になる」と言われたら、少しだけ牛の身にもなってあげたいところです。

さて、あなたはどちらを信じますか。この噂、誰かに話したくなったら