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歴史の異説 / キリスト

青森県の村にキリストの墓がある

十字架にかけられたのは弟で、本人は日本で天寿を全うした。青森の小さな村に、そんな伝説が残っています。

Since:昭和時代〜Evidence:3

青森県の南東部、十和田湖に近い新郷村。のどかな山あいの村の一角に、十字架が立つ二つの土まんじゅうがあります。地元で語り継がれてきた伝承によれば、そのうちの一つは、なんとイエス・キリストの墓だというのです。もう一つには、キリストの弟が眠っているとされます。

伝説はこう語ります。若き日のキリストは日本に渡り、修行を積んだのちに故郷へ帰った。しかし教えは受け入れられず、十字架にかけられそうになる。そのとき身代わりとなったのは、弟のイスキリだった。キリスト本人は再び日本へ逃れ、この村で暮らし、100歳を超えて生涯を閉じた、と。故郷から遠く離れた東北の山里で、家族を持ち、静かに暮らしたとも語られます。

村のかつての名前は「戸来」。この響きが「ヘブライ」に通じる、という話も伝わっています。さらにこの地方に伝わる盆踊りの歌「ナニャドヤラ」は、意味のわからない不思議な言葉でできており、ヘブライ語で読み解けるのでは、という説まで登場しました。村の旧家には、先祖がキリストにつながるという話まで伝わっていると言われます。

東北の山里と、遠いエルサレム。直線距離にして何千キロも離れた二つの土地を結ぶ細い糸は、本当に存在するのでしょうか。

  • 「戸来」という村の

    旧村名の「戸来」が「ヘブライ」に似た響きを持つことが、よく挙げられます。地名の音の一致が、伝説の入り口になっています。

  • 謎めいた盆踊り歌

    地元に伝わる「ナニャドヤラ」は、歌詞の意味がはっきりしない民謡として知られます。これを外国語で読み解こうとする試みが、伝説に神秘性を加えてきました。

  • 古くからの独特な風習

    この地域には、子どもの額に墨で十字を書く風習があったとも言われます。こうした言い伝えが、キリストとのつながりを思わせる材料として語られてきました。

キリストの墓の伝説は、昭和10年ごろ、茨城県の宗教家・竹内巨麿のもとに伝わるとされた「竹内文書」をもとに広まったとされます。竹内文書は、歴史学では後世に作られた文書と考えられており、キリストが日本を訪れたことを示す記録は、ほかの史料からも見つかっていません。

新約聖書では、イエスは十字架刑ののち復活したと記され、これは世界中のキリスト教徒にとって信仰の中心となる出来事です。新郷村の伝説は、そうした信仰とは別に、昭和の時代に生まれた地域の伝承として、今では村おこしの一つとして、多くの観光客を迎えています。

ちなみに、新郷村では毎年「キリスト祭」が開かれているとされます。キリストの墓とされる場所の前で、神主による神道式の慰霊が行われ、そのあと地元の人々が「ナニャドヤラ」を踊るという、世界でもなかなか見られない取り合わせの祭りです。墓の近くには「キリストの里伝承館」もあります。

さて、あなたはどちらを信じますか。この噂、誰かに話したくなったら