文字
アニメ・エンタメ / ハドソン

高橋名人の16連射には、秘密の仕掛けがある

1秒間に16回、指でボタンを叩く。人間離れしたその技に、子どもたちは本気で「仕掛けがあるはず」と信じていました。

Since:1980年代〜Evidence:3

1980年代、ファミコンブームのまっただ中に、ひとりのヒーローがいました。ゲーム会社ハドソンの社員でありながら、テレビやイベントに引っ張りだこになった高橋名人です。その代名詞が、1秒間に16回もボタンを押すという「16連射」でした。その名前を知らない子どもは、当時ほとんどいなかったかもしれません。

全国を回るゲーム大会の会場で、名人がコントローラーを握ると、画面の中の弾が途切れなく飛び出していきます。子どもたちは目を丸くし、家に帰って真似をしては、指が追いつかずに悔しがりました。時計を片手に、友だちと決まった時間で何回押せるかを競い合う。そんな光景が、日本中の教室や公園で見られたと言われます。

そんな中、全国の小学校でまことしやかに語られたのが「名人の連射には仕掛けがある」という噂です。コントローラーに特別なバネが仕込まれている、ボタンの内側に秘密の装置がある、実は指ではなく別の力で押している。休み時間の教室は、名人の秘密をめぐる推理大会になっていました。

あの手の中で、本当は何が起きていたのか。子ども時代に抱いた小さな疑惑は、大人になってもふと頭をよぎるものです。あれは本当に、人間の指だけの技だったのでしょうか。

  • 人間離れした速さ

    1秒に16回という数字は、普通の人が必死に叩いても届きにくい速さです。自分でできないからこそ、仕掛けを疑いたくなりました。

  • 連射機能つきの機器

    当時は連射機能を備えたコントローラーも登場していました。機械で連射できると知っている子どもほど、名人の技にも道具が使われていると考えがちでした。

  • テレビの向こうの存在

    名人の技を間近で見られる機会は限られていました。画面越しにしか見られないことが、かえって想像をふくらませたのです。

高橋名人は、自身の連射について、腕に力を込めて振動させるようにし、その勢いで指先でボタンを叩く技術だと説明してきたとされています。人前での実演も数多く重ねており、特別な装置を使っていたことを示す記録は見当たりません。本人がその技を語る姿は、テレビや雑誌でもたびたび紹介されてきたと言われます。

連射の速さについては、当時の計測の方法や条件によって、数字の受け止め方が変わる面もあると言われます。いずれにしても、名人の連射はファミコン世代の憧れとなり、「練習すれば自分もできるかもしれない」と思わせる存在でした。その熱気こそが、噂を生んだのかもしれません。

ちなみに、高橋名人はゲームの主人公にもなっています。1986年にハドソンから発売されたファミコン用ソフト『高橋名人の冒険島』では、名人をモデルにしたキャラクターが南の島を駆け回ります。ゲーム会社の社員がタイトルに名前を冠するほど、当時の名人は子どもたちの人気者だったのです。

さて、あなたはどちらを信じますか。この噂、誰かに話したくなったら