E.T.のゲームは砂漠に大量に埋められた
売れ残ったゲームが、トラックで砂漠の町へ運ばれていった。30年以上語られ続けた、ゲーム業界の埋蔵伝説です。
噂の内容
1982年、映画『E.T.』が世界中で大ヒットしました。その勢いに乗って、アメリカのアタリ社は家庭用ゲーム機「Atari 2600」向けにゲーム版を発売します。クリスマス商戦に間に合わせるため、開発は驚くほど短い期間で進められたと言われます。
ところが、発売されたゲームの評判は散々でした。遊び方がわかりにくく、穴に落ちては這い上がる場面ばかり。大量に作られたカートリッジは店の棚に積み上がり、返品の山となってアタリに戻ってきたと語られます。期待して箱を開けた子どもたちの落胆は、相当なものだったと想像されます。
そして噂は、ここから一気に怪しくなります。行き場を失った膨大なカートリッジは、ある日トラックに積まれ、ニューメキシコ州の砂漠の町へ運ばれた。そこで地面に掘られた穴に次々と投げ込まれ、上からコンクリートで固められてしまった、というのです。人目を避けるように処分された、とも語られました。いつか誰かが、その砂を掘り返す日が来るのではないか。
「史上最悪のゲーム」とまで呼ばれたソフトが、砂漠の下に眠っている。この話はゲーム業界の失敗を象徴する物語として、長いあいだ半ば伝説のように語り継がれていきました。
ささやかれる証拠
短すぎた
開発期間 ゲーム版『E.T.』は、数週間という短い期間で作られたと伝えられています。急ごしらえの大作が失敗した、という流れは物語としてわかりやすいものでした。
業界全体の
不振 当時のアメリカでは家庭用ゲーム市場が急激に冷え込んでいました。大量の在庫が処分されたという話は、その空気とぴったり重なります。
当時の
新聞報道 1983年ごろ、地元の新聞がゲームソフトの廃棄を報じたとされています。記録の断片が残っていたことが、噂に現実味を与えていました。
表向きの説明
2014年、ニューメキシコ州アラモゴードの埋立地で実際に発掘作業が行われ、『E.T.』を含むアタリのカートリッジが掘り出されました。この様子はドキュメンタリー映画『Atari: Game Over』に記録され、長年の噂は現実の出来事として確かめられる形になりました。
一方で、埋められていたのは『E.T.』だけではなく、ほかのソフトや機材も含まれていたことがわかっています。埋められた本数は数十万本規模とも言われますが、その多くは売れ残った在庫の処分だったと説明されており、「E.T.だけを隠すために埋めた」というわけではなかったようです。
ちなみに、1980年代前半に北米の家庭用ゲーム市場が急激に縮小した出来事は、日本では「アタリショック」と呼ばれています。この混乱のあと、北米で存在感を高めていったのが、任天堂のファミコンの海外版であるNESだったと言われます。ゲームの歴史の大きな転換点でした。
さて、あなたはどちらを信じますか。この噂、誰かに話したくなったら