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アニメ・エンタメ / 紅の豚(1992)

ポルコは、自ら望んで豚になった

なぜ彼だけが豚の顔をしているのか。映画は最後まで、その答えをはっきりとは語りませんでした。

Since:2000年代〜Evidence:4

1920年代のアドリア海を舞台に、賞金稼ぎの飛行艇乗りが空を駆ける『紅の豚』。主人公ポルコ・ロッソは腕利きのパイロットで、女性にもどこかモテる渋い男。ただひとつ、顔が豚であることを除けば。作中の誰もがそれを当たり前のように受け入れていますが、なぜ彼が豚になったのかは最後まで明かされません。

そこで生まれたのが、いくつもの噂です。ひとつは魔法の呪い説。ポルコは何者かに魔法をかけられ、人間の顔を奪われた。だからこそ純粋な心の持ち主が口づけをすれば、元の姿に戻れるはずだというのです。まるでおとぎ話の王子のようなこの説は、根強い人気があります。

もうひとつが、自ら望んだ説です。ポルコはかつて空軍のエースとして戦い、多くの仲間を失いました。自分だけが生き残ったことへの罪悪感、そして国のために戦うことへの嫌気。人間であることをやめたいと願った心が、あの顔に表れているのではないか。そう読むと、有名な台詞「飛ばねぇ豚はただの豚だ」がぐっと重く響きます。

そして物語のラスト。ある人物がポルコの顔を見て驚く場面がありますが、観客にその顔ははっきり見せられません。彼は人間に戻ったのか、戻らなかったのか。答えを隠したまま幕を下ろす演出が、噂をさらに燃え上がらせてきたのです。

  • 戦友を失った記憶

    ポルコはフィオに、かつての空戦で仲間たちが雲の上へ昇っていく不思議な光景を見たと語ります。ひとり取り残された体験が、豚になったきっかけではないかと考えられています。

  • 一瞬だけ戻る人間の顔

    作中には、ポルコの顔がほんのわずかに人間の姿で描かれるように見える場面があるとされます。心が動いたときだけ呪いが揺らぐ、と受け取るファンもいます。

  • フィオの口づけ

    物語の終盤、フィオはポルコの頬にキスをします。おとぎ話の定番である「口づけで呪いが解ける」展開をなぞっているのでは、と注目されました。

  • 見せないラストの顔

    ラストでポルコの顔を見た人物は驚きますが、観客にはその顔が映りません。人間に戻ったのかどうかを想像に委ねる、印象的な幕引きになっています。

本編の中で、ポルコが豚になった理由は明確には説明されていません。人間時代の名前がマルコであること、空軍のパイロットだったこと、戦争で仲間を失ったことは描かれていますが、魔法がかけられた経緯などは語られず、観客の解釈に委ねられた部分として残されています。

この作品は、宮崎駿監督が模型雑誌で連載していた短い漫画をもとにしていると言われます。当初は航空会社の機内上映用の短編として企画され、それが長編の劇場作品へと発展したとされています。ポルコの姿については、豚であることそのものが物語の前提として軽やかに扱われており、その余白が多くの考察を生んできたと考えられます。

ちなみに、ポルコの本名は「マルコ・パゴット」とされています。このパゴットという姓は、かつて宮崎駿監督も関わったテレビアニメ『名探偵ホームズ』で協力したイタリアのアニメーション制作者、パゴット兄弟に由来すると言われます。イタリアを舞台にした作品に、イタリアの仕事仲間の名前をそっと忍ばせていたわけです。

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さて、あなたはどちらを信じますか。この噂、誰かに話したくなったら