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アニメ・エンタメ / 崖の上のポニョ(2008)

ポニョの後半は、死後の世界だった

嵐の夜を境に、町は海に沈みました。あのトンネルの向こうは、本当にいつもの世界だったのでしょうか。

Since:2008年の公開直後からEvidence:4

魚の女の子ポニョと、5歳の少年宗介の出会いを描いた『崖の上のポニョ』。耳に残る主題歌とかわいらしい絵柄で、子ども向けの明るい作品として親しまれています。ところが公開直後から、ネットではこんな読み解きが広まり始めました。「嵐の夜のあと、この町の人たちはみんな死んでいるのではないか」。

噂の筋書きはこうです。ポニョが妹たちを引き連れて波の上を駆けた大嵐で、町は津波に飲み込まれてしまった。翌朝、宗介の家のまわりが水没し、古代魚が泳ぐ静かな海になっているのは、そこがすでにこの世ではないから。水の上を小舟で進む人々の穏やかすぎる表情も、あちら側へ向かう行列に見えてくるというのです。

決定的だと語られるのが、老人ホームの場面です。ふだん車椅子で過ごしているおばあちゃんたちが、水の底で自分の足で立ち、子どものように走り回る。体の痛みから解き放たれたその姿は、生きている人間のものとは思えない、というわけです。

そして物語の終盤、宗介とポニョはトンネルをくぐります。その中でポニョはみるみる元気をなくし、魚に近い姿へ戻ってしまう。トンネルは生と死の境目であり、ふたりはそこを越えたのだ——。そう考えると、あの明るいエンディングが急に違って見えてくるから不思議です。

  • 走り回るおばあちゃんたち

    車椅子だったはずの老人ホームの女性たちが、水中で軽やかに駆け回ります。老いや病から解放された姿が、死後の安らぎを表しているのではと受け取られました。

  • 古代魚が泳ぐ水没した町

    嵐の翌朝、町は海に沈み、はるか昔の生き物たちが泳ぐ世界に変わっています。時間さえ止まったような光景が、この世ではない場所の証拠だと語られます。

  • トンネルで弱るポニョ

    トンネルを抜ける途中、ポニョは急に眠り込み、魚の姿に戻りかけます。境界を越えることの危うさを示す場面として、噂の中心に置かれてきました。

  • 夜の海に集まる船

    宗介の父が乗る船の周囲には、たくさんの船が集まる不思議な夜の場面があります。まるで船の墓場のようだと感じる人も多く、死後の世界説を後押ししました。

作中で、町の人々が亡くなったと明示される場面はありません。嵐のあとも人々は船で避難し、互いに声をかけ合い、宗介の母リサも無事な姿で再登場します。老人ホームの女性たちが走り回る場面も、海の魔法が満ちた特別な時間の出来事として描かれています。

制作側が「後半は死後の世界」と公式に認めたという確かな記録は、少なくとも広く知られてはいません。一方で、生と死や境界を思わせるモチーフが随所にあることは多くの評論でも触れられており、幼い子どもに向けた明るさと、大人が感じ取る奥行きが同居している点が、この噂を生んだと考えられます。

ちなみに、ポニョという名前は宗介がつけたもので、父親のフジモトは彼女を「ブリュンヒルデ」と呼んでいます。これはワーグナーの楽劇『ワルキューレ』に登場する戦乙女の名前です。制作中に宮崎駿監督がワーグナーの音楽を聴いていたことが影響したとも言われ、あどけない魚の子にずいぶん勇ましい本名が与えられていたことになります。

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さて、あなたはどちらを信じますか。この噂、誰かに話したくなったら