アシタカは、滅ぼされた民の最後の王子だった
東の果ての小さな隠れ里。アシタカの故郷には、教科書に載っている日本史の裏側が刻まれていました。
噂の内容
1997年に公開され、当時の日本映画の興行記録を塗り替えた『もののけ姫』。サンとアシタカ、そして森の神々と人間の戦いは、いまも多くの人の心に残っています。ところが、この物語の本当の始まりに気づいている人は意外と少ない、と言われます。鍵を握るのは、主人公アシタカの生まれ故郷です。
アシタカが暮らしていたのは、東の山奥にひっそりと隠れた小さな村。人々は古風な装束をまとい、長老の老婆が占いで村の行く末を決めています。噂によれば、この村は遠い昔、大和の朝廷との戦いに敗れて追われた蝦夷(エミシ)の生き残りが築いた里。アシタカは、その一族の長になるはずだった若者なのです。
そう思って見返すと、物語の見え方が変わります。呪いを受けたアシタカは髷を切り、二度と戻れない旅に出る。それは単なる旅立ちではなく、滅びゆく一族の最後の王子が、時代の表舞台へ踏み出す瞬間だったのかもしれません。
さらにもうひとつ、噂好きが語るのがタタラ場の存在です。鉄を生み出すために山を削り、森を焼き、神々と対立するエボシの町。あれは空想の産物ではなく、かつて日本の山あいに実在した製鉄の集落がモデルになっている、というのです。本当だとしたら、ずいぶん奥が深い話です。
ささやかれる証拠
髷を
切って 村を 出る 旅立ちの前、アシタカは自ら髷を切り落とします。村人の前で二度と戻らない覚悟を示す儀式のようだとされ、一族との永遠の別れを意味すると読み解かれてきました。
古風すぎる
村の 暮らし アシタカの村は、室町時代とされる物語の中でも明らかに古い文化を保っています。時代から取り残された人々の隠れ里という設定が、画面の随所からにじみ出ています。
アカシシの
ヤックル アシタカの相棒ヤックルは、架空の動物アカシシとして描かれます。外の世界では見かけない生き物に乗っていること自体が、アシタカの出自の特別さを物語っているようです。
女たちが
踏むタタラ タタラ場では、女性たちが大きなふいごを足で踏み続けます。炉に風を送るその作業は、実際のたたら製鉄の工程を思わせるものとして注目されました。
表向きの説明
アシタカの一族が、大和の朝廷に追われた蝦夷の末裔であるという設定は、公開当時の資料や解説などで紹介されてきたとされ、噂というより作品の背景設定として知られています。ただし本編の中では詳しく語られないため、あとから知って驚く人が多いようです。
タタラ場については、中国地方などで古くから行われてきた日本古来の製鉄法「たたら製鉄」がイメージの源になっていると言われます。島根県の山あいに残る製鉄の遺構などがモデルのひとつとして挙げられることもありますが、特定の場所をそのまま描いたものではなく、複数の要素を組み合わせて作り上げた架空の町と受け取るのが一般的です。
ちなみに、アシタカの声を演じた松田洋治さんは、1984年の『風の谷のナウシカ』でペジテの少年アスベルの声も担当していました。13年の時を経て、再び宮崎駿監督作品の少年役を務めたことになります。子役時代から活躍していた松田さんにとって、どちらも忘れがたい役だったと言われます。
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さて、あなたはどちらを信じますか。この噂、誰かに話したくなったら