文字
科学・生活の俗説 / 言い伝え

雷が鳴ったら、おへそを隠さないと取られてしまう

ゴロゴロと空が鳴りだすと、「おへそを隠しなさい」と大人に言われた。雷様は子どものおへそが大好物だ、という言い伝えです。

Since:昔からEvidence:3

夏の午後、急に空が暗くなって、遠くでゴロゴロと音が響きはじめる。すると、おばあちゃんやお母さんが決まって言いました。「雷様におへそを取られるよ。早くお腹を隠しなさい」。子どもたちはあわててシャツの裾を引っぱり、両手でおへそを押さえたものです。

雷様は、太鼓を背負い、虎の皮のパンツをはいた鬼の姿で描かれます。空の上から地上を見下ろして、お腹を出している子どもを見つけると、稲妻とともに降りてきて、おへそを持ち去ってしまう。取ったおへそは、雷様の好物なのだと言われています。

今となっては、本気で信じている人はいないでしょう。それでも、雷が鳴るとつい、お腹に手がいってしまう。子どものころに刷り込まれた言い伝えは、大人になっても体が覚えているものです。

  • 鬼の姿をした雷神

    風神雷神図などに描かれる雷神は、角を生やした鬼の姿をしています。恐ろしい姿の雷様なら、へそくらい取っていきそうだという想像が、言い伝えに説得力を与えてきました。

  • 雷のあとは急に冷える

    雷雨のときには冷たい風が吹き下ろして、気温がぐっと下がることがあります。お腹を出していると本当に体を冷やしてしまうので、「へそを取られる」という脅しには実感がともないました。

  • 身をかがめる姿勢

    おへそを隠そうとすると、自然と体を丸めて前かがみになります。背を低くする姿勢を取らせるための知恵だったのでは、という見方もあります。

雷がへそを取ることはもちろんありませんが、この言い伝えには、生活の知恵が込められていると考えられています。よく言われるのは、雷雨で急に気温が下がったときに、寝冷えのようにお腹を冷やして体調を崩さないよう、子どもに注意させるためだったという説明です。

身をかがめさせて落雷から身を守るため、という説もありますが、気象庁などは、雷が鳴ったら建物や自動車の中など安全な場所へすぐに避難するよう呼びかけています。おへそを隠すだけでは雷から身を守れないので、言い伝えは言い伝えとして楽しみ、雷が近づいたらまずは屋内へ、が正解です。

ちなみに、雷のことを「稲妻」と呼ぶのは、稲が実るころに雷が多く、雷が稲を実らせると考えられていたからだと言われます。おへそを取っていく怖い雷様も、田んぼにとってはありがたい存在だったのかもしれません。

さて、あなたはどちらを信じますか。この噂、誰かに話したくなったら