ドラクエの冒険の書が消えるのは、呪いのせいだ
電源を入れた瞬間に流れる、あの不気味な音楽。何十時間もの冒険が一瞬で消え去る恐怖を、覚えていますか。
噂の内容
1988年に発売された『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』。社会現象を巻き起こしたこの作品から、冒険の記録をカセットに保存する「冒険の書」が登場しました。長い呪文をメモする必要がなくなり、子どもたちは大喜びしたものです。発売日には、ソフトを求める人たちの長い行列ができたことも大きな話題になりました。
ところが、この冒険の書には恐ろしい落とし穴がありました。ある日カセットを差し込んで電源を入れると、耳に残る不気味な音楽とともに、冒険の書が消えてしまったことを告げるメッセージが表示される。何十時間もかけて育てた勇者たちが、跡形もなく消えてしまうのです。
あまりに唐突で、あまりに容赦がない。子どもたちの間では「あの音楽自体が呪いなんだ」「一度聞いた家では、また消える」といった話がまことしやかに語られました。夜中に遊ぶと消えやすい、カセットを乱暴に扱うと呪われる、という説まであったと言われます。電源を入れるたびに、祈るような気持ちで画面を見つめた子どももいたはずです。
画面の前で呆然とし、泣き出した子どももいたことでしょう。あの音楽は、いまも多くの大人たちの心に、小さなトラウマとして刻まれています。あの音を思い出しただけで、心臓がきゅっとなる人もいるでしょう。
ささやかれる証拠
音楽の
不気味さ 冒険の書が消えたときに流れるのは、ゲーム中で呪いを受けたときと同じ系統の音楽だと言われます。耳に残る旋律が、呪いのイメージと強く結びつきました。
理由が
わからない 消えるときに何の前触れもないため、子どもには原因がまったくわかりませんでした。説明のつかない出来事は、人を超自然的な説明へと向かわせます。
消えやすい
家が ある 同じソフトでも、よく消える家とそうでない家がありました。その差が「呪われた家」という発想を生みました。
表向きの説明
『ドラゴンクエストIII』の冒険の書は、カセットに内蔵された電池で記録を保つ「バッテリーバックアップ」という仕組みで保存されていました。電源を切るときの操作や、本体とカセットの接触の状態などによって、記録が壊れてしまうことがあったとされています。説明書でも、リセットボタンを押しながら電源を切るよう案内されていました。
音楽については、記録が失われたという出来事の重さを伝える演出として選ばれたものと受け止められています。淡々と事実を告げるその演出は、当時のプレイヤーに強烈な印象を残し、結果としてシリーズを語るうえで欠かせない思い出のひとつになりました。
ちなみに、冒険の書が登場する前の『ドラゴンクエストII』では、続きを遊ぶために「ふっかつのじゅもん」をメモする必要がありました。その長さは最大で52文字にもなったと言われます。ひらがなを一文字書き間違えるだけで復活できなくなることもあり、こちらもまた別の意味で子どもたちを泣かせました。
さて、あなたはどちらを信じますか。この噂、誰かに話したくなったら