すべては植物状態ののび太が見ていた夢
事故で目を覚まさなくなったのび太。ドラえもんも、ひみつ道具も、眠り続ける少年の夢だった——。
噂の内容
何でも出してくれる青いネコ型ロボット。どこでもドア、タケコプター、タイムマシン。国民的アニメ『ドラえもん』には、子どもの夢がすべて詰まっています。けれど、その夢があまりにも都合がよすぎることに、ふと不安を覚えたことはないでしょうか。
1980年代の後半ごろから、子どもたちの間でひそかに語られ始めた「最終回」の噂があります。のび太は実は交通事故に遭い、植物状態でベッドに横たわっている。ドラえもんが来てからの楽しい日々は、すべて眠り続ける彼が見ている夢にすぎない。そして最終回、ドラえもんは「そろそろ起きなきゃいけないよ」と別れを告げ、のび太は長い夢から目を覚ます——。
この話は口コミで広がり、やがてチェーンメールやネットの掲示板で一気に拡散しました。聞いた子どもの中には、本気で泣いてしまった人もいたとか。あまりに広まったため、「本当の最終回はこれだ」と信じ込んだまま大人になった人も少なくないと言われます。
さらに噂に拍車をかけたのが、作者の藤子・F・不二雄さんが1996年に亡くなったことでした。「本当の最終回は描かれないまま、作者は旅立ってしまった」。その空白が、さまざまな最終回の噂を呼び込む余地を生んだのです。
ささやかれる証拠
あまりに
都合の いい世界 ダメな少年のもとに、どんな願いも叶える未来のロボットがやって来る。夢のような設定だからこそ、本当に夢なのではと疑いたくなるのです。
描かれなかった
最終回 長く続いた作品でありながら、誰もが知る決定的な最終回がありません。その空白が、噂を本物らしく見せる隙間になりました。
子ども
心に 刺さる 残酷さ 楽しい思い出がすべて夢だったという結末は、聞いた人の記憶に強く焼き付きます。怖いけれど人に話したくなる、噂が広まる条件がそろっていました。
表向きの説明
植物状態の話は、藤子・F・不二雄さんによる公式の結末ではなく、出どころのはっきりしない創作とされています。藤子プロや出版社が、この内容を正式な最終回として認めた事実はありません。
一方で、原作にはいくつかの「最終回」が実際に存在します。学年誌の連載では、学年が上がる読者に向けて、ドラえもんが未来へ帰ってしまうお話が何度か描かれました。その一つがコミックス第6巻に収録された「さようならドラえもん」で、ドラえもんが去ったあとの、のび太の成長が胸を打つ名作として知られています。ただし物語はその後も続き、ドラえもんは再びのび太のもとへ戻ってきます。
ちなみに2000年代には、ある同人作家が描いた「ドラえもん最終話」という作品が、ネットで話題になり大量に出回りました。あまりの広まりように、藤子プロと小学館が著作権の問題として対応し、作者側が謝罪する事態になったと報じられています。ファンの思いが生んだ最終回が、公式を揺るがしかけた一件です。
さて、あなたはどちらを信じますか。この噂、誰かに話したくなったら