寺に伝わる人魚のミイラは本物の人魚だった
苦悶の表情を浮かべた顔に、うろこに覆われた下半身。人魚のミイラを拝むと、長生きできると言われてきました。
噂の内容
上半身は人間、下半身は魚。西洋の美しい人魚とは違い、日本に伝わる人魚は、どこか恐ろしげな姿で語られてきました。そして驚くことに、日本各地の寺社には、その人魚のミイラとされるものが今も大切に保管されていると言われます。その姿は、見世物や信仰の場で、多くの人々の目を引いてきました。
伝わるミイラの多くは、30センチから1メートルほどの大きさとされます。両手を顔のそばに上げ、口を大きく開いた、まるで叫んでいるかのような表情。下半身には魚のうろこと尾びれがはっきりと残っています。見る者を圧倒する、不気味な迫力があります。口の中には、小さな歯が並んでいるものもあるとされます。
日本には、人魚の肉を食べた娘が不老長寿となり、800年も生きたという「八百比丘尼」の伝説があります。そのため人魚は長寿や無病息災をもたらす存在ともされ、ミイラを拝むと病が治る、長生きできると信じられてきました。疫病がはやった時代には、ことさら大切にされたとも言われます。江戸時代には、人魚が現れたという知らせが瓦版で広まったこともあったと言われます。
海の向こうの伝説の生き物が、なぜ日本の寺に眠っているのか。ミイラは、長い年月の祈りを背負ったまま、静かに箱の中に横たわっています。その体の中には、いったい何が詰まっているのでしょうか。
ささやかれる証拠
古い
記録に 人魚が 登場 『日本書紀』には、人とも魚ともつかない生き物が網にかかったという記事があるとされます。人魚の話は、それほど古くから日本に伝わってきたということです。
寺が
代々 守ってきた 人魚のミイラは、寺社で長く信仰の対象として受け継がれてきたとされます。昔の人々が本物と信じて大切にしてきた重みがあります。
リアルな
細部 指の爪や歯、うろこなどが細かく残っているものもあると言われます。作り物にしては精巧すぎる、と感じる人も少なくありません。
表向きの説明
2022年から、岡山県浅口市の円珠院に伝わる人魚のミイラを、大学の研究者らが調べるプロジェクトが行われました。CTスキャンなどによる調査の結果、翌年の発表では、体の中に哺乳類の骨格はなく、布や紙、綿などで形を作り、表面に魚の皮などを貼り合わせたものと考えられると報告されています。
こうした人魚のミイラは、江戸時代ごろに見世物や信仰のために作られたものだと考えられています。一方で、作られた目的や、どのような人々の手によるものかなど、分かっていない点も多く残されています。長く祈りを受けてきた品であることは変わりません。
ちなみに、19世紀のアメリカでは興行師P・T・バーナムが「フィジーの人魚」と称するミイラを展示し、大評判になりました。このミイラは、サルと魚を組み合わせて作られたもので、日本から渡った品だったとも言われています。日本の職人技が、海の向こうの見世物を支えていたのかもしれません。
さて、あなたはどちらを信じますか。この噂、誰かに話したくなったら