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科学・生活の俗説 / 金魚

金魚の記憶は3秒しかもたない

水槽を一周するたびに、金魚はすべてを忘れて、また新しい世界を泳いでいるのだそうです。

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小さな丸い金魚鉢の中を、赤い金魚がくるくると回っています。同じ場所を、同じ速さで、何度も何度も。見ているうちに、ふと不思議に思えてきます。この子は退屈しないのだろうか、と。

そこで登場するのが「金魚の記憶は3秒」という説です。金魚は記憶力が極端に弱く、3秒たつと何もかも忘れてしまう。だから狭い鉢の中でも、一周するたびに景色が新鮮に見え、飽きることなく泳いでいられるのだ、というのです。なんともよくできた話です。狭い鉢で飼われる金魚がかわいそうだと感じる人にとっては、ちょっとした救いにもなる説明でした。

この説は日本だけでなく、英語圏でも「金魚並みの記憶力」という言い回しとともに広く知られています。忘れっぽい人をからかうときの定番のたとえにもなり、「スマホ時代の人間の集中力はもう金魚以下だ」といった話題でも引き合いに出されてきました。金魚は、いつの間にか「忘れっぽさ」の代名詞にされてしまったのです。

エサをあげた直後なのに、また水面に口をパクパクさせて寄ってくる金魚。その姿を見れば、なるほど、さっきのことはもう忘れたのだろうと、つい納得してしまうのです。3秒ごとにリセットされる世界。それは少しさみしくて、少しうらやましい生き方にも思えてきます。

  • 同じ場所を回り続ける

    狭い水槽で同じコースを泳ぎ続ける様子は、何も覚えていないからだと説明されるとしっくりきます。行動がそのまま証拠のように見えるのです。

  • 何度でもエサをねだる

    食べたばかりでも水面に寄ってくる姿は、エサをもらったことを忘れているようにも見えます。飼い主の実感が、噂を後押ししてきました。

  • 表情が読みにくい

    魚は表情や鳴き声で気持ちを伝えないため、何を考えているのか想像しにくい生き物です。分からない部分が、「何も考えていない」というイメージにつながりました。

金魚の記憶力を調べた実験では、音や光などの合図とエサの関係を学習し、時間がたってもそれを覚えていたという報告が複数あります。特定の時間にだけエサが出る仕掛けを覚えたり、迷路の道順を学習したりする例も知られており、少なくとも数か月単位で記憶を保てると考えられています。

水面に寄ってくるのは、むしろ「人が近づくとエサがもらえる」と覚えている結果とも考えられます。狭い鉢で同じ場所を回るのも、泳げる範囲が限られているためです。飼い主の顔や足音を見分けているように見える、という飼育者の声もあります。金魚は見た目の印象よりずっと賢い生き物だ、というのが研究者たちの見方です。

ちなみに、金魚はもともと中国でフナの突然変異を選び抜いて生まれた観賞魚で、日本には室町時代ごろに伝わったとされています。きちんと飼えば10年以上生きることも珍しくなく、海外では40年を超えて生きたとされる金魚の記録もあります。3秒どころか、飼い主との思い出をかなり長く抱えているのかもしれません。

さて、あなたはどちらを信じますか。この噂、誰かに話したくなったら