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科学・生活の俗説 / 言い伝え

茶柱が立つと、いいことが起きる

湯のみの中で、お茶の茎がすっと縦に浮かんでいる。「茶柱が立った」と喜ぶこの縁起担ぎは、お茶屋さんの商売上手から生まれたという噂があります。

Since:江戸時代ごろ〜Evidence:3

朝、何気なく淹れたお茶をのぞきこむと、小さな茎が一本、湯のみの中でまっすぐ縦に浮かんでいる。「あ、茶柱が立ってる」。それだけで、その日一日が少し明るく見えてきます。茶柱が立つと縁起がいい、というのは、日本中で知られた言い伝えです。

ところが、この縁起担ぎには、ちょっと生々しい誕生秘話がささやかれています。昔、ある茶どころの商人が、茎の多い安いお茶を売りさばくのに困っていた。そこで「茶柱が立つと縁起がいい」と言いふらし、茎入りのお茶をありがたいものに変えてしまった、というのです。

もしそうだとすれば、私たちが茶柱を見て喜ぶたびに、昔の商人の思惑どおりになっていることになります。縁起物の裏に商売の知恵あり。土用の丑の日のうなぎやバレンタインのチョコレートにも通じる、よくできた話です。

  • めったに起きない偶然

    茎は急須の網でこされやすく、湯のみに入ること自体がまれです。そのうえ縦に立って浮かぶとなれば、なかなか出会えません。めったにないことが「吉兆」とされるのは自然な流れです。

  • 「柱」という言葉

    柱は家を支える大黒柱に通じる、縁起のよい言葉です。細い茎を「柱」と呼んだ時点で、ありがたいものに見えてくる仕掛けになっています。

  • 二番茶は茎が多い

    お茶は、摘む時期や部位によって値段が変わります。茎が多く混じるお茶は比較的手ごろなものとされ、茎入りのお茶の印象をよくしたい動機があった、という筋書きには説得力があります。

茶柱が縦に立つのは、茎の片側が水を吸って重くなり、反対側は空気を含んで軽いまま、というバランスになったときだと説明されます。条件がそろうことはまれなので、「珍しいことが起きた」ということ自体が、縁起のよさにつながったと考えられています。

茶商が茎入りのお茶を売るために広めたという話は、静岡など茶どころの商人にまつわる説としてよく語られますが、はっきりした記録で裏付けられているわけではなく、俗説のひとつとされます。いつ、誰が言い始めたのかはわかっていません。

ちなみに、茶柱が立ったことは人に言わず、こっそり飲んでしまうと幸運が逃げない、という言い伝えもあるそうです。見つけたら、この記事のことは忘れて、黙って飲み干すのがよさそうです。

さて、あなたはどちらを信じますか。この噂、誰かに話したくなったら