チェーン店のチキンは、足が6本ある改造鶏
バケツいっぱいのドラムスティック。普通の鶏で、あれだけの足がそろうはずがない――。
噂の内容
クリスマスの夜、テーブルの真ん中に置かれた大きなバケツ。ふたを開けると、こんがり揚がったドラムスティックがずらりと並んでいます。ふと、誰かがつぶやきました。「鶏って足2本だよね。これ、何羽分?」
そこから広がったのが「改造鶏」の噂です。大手チェーンは、効率よく肉を取るために、足が6本も8本もある特殊な鶏を秘密の施設で育てている。羽もくちばしもなく、ただ肉を取るためだけの生き物だ。そんなおぞましい話が、まことしやかに語られるようになりました。写真まで出回ったと言われますが、どれも出どころの分からない画像ばかり。それでも一度見てしまうと、頭から離れないのです。
1990年代後半から2000年代にかけては、英語圏で「ある大学の調査で判明した」とうたうチェーンメールが出回ったと言われます。店名が略称に変わったのは、もはや「チキン」と名乗れない生き物を使っているからだ、という尾ひれまで付いていました。日本でもこの話はネットの掲示板や口コミで広まり、「足6本の鶏」は定番の都市伝説になっていきます。
しかもこの手の話には、決まって「工場で働いていた知人から聞いた」という証言がついて回ります。名前も顔も分からない「知人」だけが、なぜか秘密を知っているのです。安くて、早くて、いつでも同じ味。その便利さの裏側を想像したとき、人は思わず、見たことのない何かを思い浮かべてしまうのかもしれません。
ささやかれる証拠
足の
パーツが 多すぎる 店頭には毎日大量のドラムスティックが並びます。1羽から2本しか取れないと考えると、数が合わないように感じる人がいるのも無理はありません。
いつも
同じ形と 大きさ チェーン店のチキンは、どの店で買っても大きさや形がよくそろっています。あまりに均一なので、自然の鶏ではなく工業的につくられたもののように見えてしまいます。
店名の
略称化 海外では社名の表記が略称中心に変わった時期があり、それが「チキンと名乗れなくなったから」という噂の根拠にされました。企業側の説明より、刺激的な理由のほうが広まりやすかったのです。
表向きの説明
足が6本ある鶏を食用に育てているという話に根拠はありません。日本ケンタッキー・フライド・チキンは、国内の養鶏場で育てられた一般的な食用の若鶏を使っていると説明しています。足の数を増やした鶏を安定して量産する技術も存在せず、この噂は各国でたびたびデマとして否定されてきました。
ドラムスティックが多く見えるのは、それだけ多くの鶏を扱っているからです。自然界ではまれに足の多いひなが生まれることもありますが、これは発生の異常によるもので、品種として育てられるものではありません。店名の略称化についても、企業はブランド戦略の一環だとしています。
ちなみに、ケンタッキーのオリジナルチキンは、1羽を9つのピースに切り分けるのが基本とされています。ドラム、サイ、ウイング、キール、リブという5種類の部位があり、キールは1羽から1つしか取れない希少部位です。バケツの中身は、実は数羽分の鶏がきっちり分解された姿なのです。
さて、あなたはどちらを信じますか。この噂、誰かに話したくなったら