コーラに歯を一晩つけておくと、溶けてなくなる
抜けた乳歯をコップのコーラに沈めて一晩。翌朝、そこに歯はなかった――そんな話を聞いたことはありませんか。
噂の内容
昭和の小学校の教室。ぐらぐらしていた乳歯がようやく抜けた日、誰かが言い出します。「その歯、コーラに入れておくと一晩で溶けるらしいよ」。まさか、と笑いながらも、みんな家に帰るとこっそりコップにコーラを注いだものでした。
噂のバリエーションはさまざまです。歯だけでなく、魚の骨も、鶏の骨も、さびた10円玉も、コーラに浸ければピカピカに溶かしてしまう。そんな飲み物を毎日飲んでいたら、自分の歯や骨はどうなってしまうのか。子どもだけでなく、親たちも本気で心配しました。「骨が弱くなるから、コーラは一日一本まで」。そんな家庭のルールが生まれたのも、この噂の影響だったのかもしれません。
しかも、コーラが酸性の飲み物だというのは紛れもない事実。理科の時間に習った「酸は金属や石を溶かす」という知識と結びつき、噂は妙なリアリティをまといます。汚れたトイレやさびた部品の掃除にコーラが使える、という裏ワザがテレビで紹介されたことも、火に油を注ぎました。実際に自由研究でコーラに卵の殻や歯を浸してみた子どももいて、表面がざらざらになったという「実験結果」が、噂の証拠として語られることもありました。
あのしゅわしゅわの泡の中に、歯をむしばむ恐ろしい力が潜んでいる。そう思うと、グラスを傾ける手が少しだけ止まってしまうのです。
ささやかれる証拠
コーラは
本当に 酸性 コーラには酸味料が使われており、一般的な飲み物の中でもかなり酸性寄りだとされています。「酸で溶ける」という話の土台が事実なので、噂を否定しにくいのです。
掃除に
使える 裏ワザ コーラでさびや汚れが落ちる、という生活の知恵はたびたび紹介されてきました。汚れを落とせるなら歯も溶かせるはず、と考えるのは自然な連想です。
歯医者さんも
注意する 歯科医が「酸っぱい飲み物をだらだら飲まないように」と注意するのは事実です。専門家も警告している、という印象が噂の信ぴょう性を後押ししました。
表向きの説明
コーラが酸性の飲み物であるのは事実で、歯の表面のエナメル質は酸にさらされると少しずつ溶け出します。長時間浸し続ければ、歯の表面が柔らかくなったり、目に見えて変化したりすることもあります。ただし、一晩で歯が跡形もなく消えるほどの速さで溶けることはないとされています。
実際の口の中では、唾液が酸を薄めて中和し、溶けかけたエナメル質を修復する働きもあります。問題になるのは、酸性の飲み物を一日中ちびちび飲み続けるような習慣です。歯が酸で溶ける「酸蝕症」や虫歯の原因になるため、飲んだあとに水で口をすすぐなどの工夫が勧められています。
ちなみに、酸っぱい飲み物はコーラだけではありません。レモン果汁や黒酢ドリンク、スポーツドリンク、果汁ジュースなども酸性で、健康によさそうなものほど見落とされがちです。歯医者さんの中には、酸性の飲み物を飲んだ直後の歯みがきは避け、少し時間をおいてからにするよう勧める人もいます。
さて、あなたはどちらを信じますか。この噂、誰かに話したくなったら