アフリカの密林には恐竜の生き残りがいる
「川の流れをせき止めるもの」。そう呼ばれる巨大な生き物が、コンゴの湿地に今も棲んでいるといいます。
噂の内容
アフリカ中部、コンゴ川流域に広がる熱帯雨林。そのなかでもリクアラと呼ばれる地方には、人がほとんど足を踏み入れない広大な湿地が広がっています。ここに、恐竜のような巨大生物が生き残っているという噂があります。その名はモケーレ・ムベンベ。現地の言葉で「川の流れをせき止めるもの」を意味すると言われます。
語られる姿は、長い首と長い尾、ゾウほどもある大きな胴体。まるで図鑑で見る竜脚類の恐竜そのものです。川に潜み、カバを嫌って追い払うとも、草や果実を食べるとも伝えられています。現地の人々に恐竜の絵を見せると、これだと指さした、という話もあります。夜の川で大きな水しぶきが上がった、という話も語られています。
20世紀後半になると、この噂を確かめようと、欧米や日本から次々と探検隊が送り込まれました。目指したのは、密林の奥にあるテレ湖。そこがモケーレ・ムベンベのすみかだと言われていたのです。テレ湖は、湿地の中にぽつんと浮かぶ、ほぼ円形の湖です。
ある探検隊は巨大な足跡を見たと言い、ある隊は湖面に何かが浮かんだと報告しました。しかし、誰もその姿をはっきりと写真に収めることはできませんでした。密林は今も、その秘密を深い緑の中に隠しています。探検の道のりそのものが、ひとつの大冒険でした。
ささやかれる証拠
現地の
人々の 証言 湿地周辺に暮らす人々から、長い首の大きな生き物の話が語られてきたとされます。外から持ち込まれた話ではない、という点が根拠とされます。
何度も
探検隊が 挑んだ 1980年代を中心に、アメリカの生物学者や日本の大学探検部など、多くの隊がテレ湖を目指したとされます。本気で探す価値があると考えた人がそれだけいたということです。
人を
寄せつけない 湿地 リクアラの湿地は広大で、今も詳しい調査が難しい場所です。大型の生き物が見つかっていなくても不思議ではない、と考える人もいます。
表向きの説明
竜脚類の恐竜は、化石の記録では約6600万年前の白亜紀末までに姿を消したとされ、それ以降の地層からは見つかっていません。モケーレ・ムベンベの目撃については、ゾウやカバ、ワニなど実在の大型動物の見間違いや、伝聞が重なるうちに姿が変わっていった可能性が指摘されています。中生代の恐竜が現代まで生き延びたことを示す証拠は、世界のどこでも見つかっていません。
また、恐竜の絵を見せて質問する方法は、答えを誘導してしまうおそれがあるとも言われます。一方で、現地の伝承に出てくる生き物が何を指していたのかは、すべて解き明かされたわけではありません。この生き物が現地の人々にとってどんな存在だったのかを探ることも、大切な研究テーマのひとつです。
ちなみに、1988年には早稲田大学探検部の隊がテレ湖に長期滞在し、モケーレ・ムベンベを探しました。その記録は、のちにノンフィクション作家となる高野秀行さんの著書『幻獣ムベンベを追え』にまとめられています。怪獣は見つからなくても、一冊の名作は生まれたわけです。
さて、あなたはどちらを信じますか。この噂、誰かに話したくなったら