ヒル夫妻は宇宙人に誘拐され、宇宙船で検査された
夜の山道でまぶしい光に出会った夫婦。気づくと2時間の記憶が消えていた。宇宙人誘拐事件の原点とされる噂です。
噂の内容
1961年9月、アメリカ北東部ニューハンプシャー州。カナダでの休暇を終えたベティとバーニーのヒル夫妻は、夜の山道を車で走っていました。ふと空を見上げると、明るい光が車を追いかけるように動いているのに気づきます。あたりに人家はなく、深い森が道の両側に続いていました。
光はどんどん近づき、やがて車の前方に大きな飛行物体が現れたといいます。窓の向こうに人影のようなものが見えた、とバーニーは語ったとされます。恐怖に駆られた二人は、無我夢中で車を走らせました。二人はただ、家へ向かう道を急ぎ続けました。
ところが、家に着いたとき、二人は奇妙なことに気づきます。予定より2時間ほど遅く着いていたのです。その間、何があったのか、どちらも思い出せません。やがてベティは、宇宙船の中で検査される悪夢を繰り返し見るようになりました。腕時計が止まっていた、車体に奇妙な斑点があった、とも語られます。
二人は精神科医のもとで催眠治療を受けます。すると、失われた記憶が語られ始めたのです。灰色の肌の小柄な者たちに宇宙船へ連れ込まれ、体を調べられた。そして宇宙人が見せたという星の地図まで、ベティは描いてみせたとされます。二人の語る内容は、細部まで驚くほど具体的だったと言われます。
ささやかれる証拠
失われた
2時間 説明のつかない時間の空白は、「ミッシングタイム」と呼ばれ、のちの誘拐体験談の定番になりました。何も覚えていないことが、かえって想像をかき立てます。
夫婦二人の
体験 一人ではなく二人が同じ出来事を体験したとされています。一人の思い込みでは説明しにくいのでは、と考える人もいます。
催眠で
語られた 記憶 専門の医師による催眠治療の中で、細かな体験が語られました。無意識の中に本当の記憶が眠っていたのでは、と受け取られました。
謎の
星図 ベティが描いた星の地図が、実在の星の配置と一致すると主張する研究者が現れました。空想で描けるものではないのでは、と話題になりました。
表向きの説明
ヒル夫妻の体験は、1966年に作家ジョン・G・フラーが出版した本で広く知られるようになり、宇宙人による誘拐体験談の原型の一つになったとされます。催眠治療を担当した精神科医は、誘拐が実際に起きたとは考えず、ベティの見た夢の内容がバーニーにも影響した可能性などを考えていたと言われます。
催眠によって引き出された記憶は、本人の想像や暗示が混ざりやすいことが心理学の研究で指摘されています。夫妻が見た光については、明るい惑星や航空機ではないかとする見方もあり、宇宙船であったことを示す物的な証拠は確認されていません。
ちなみに、ニューハンプシャー州には現在、この事件を紹介する州の歴史標識が立てられているとされます。UFOの目撃が公式の歴史標識になるのは珍しいことで、事件が地域の歴史の一部として受け止められていることがうかがえます。1975年にはこの体験をもとにしたテレビ映画も制作されました。
さて、あなたはどちらを信じますか。この噂、誰かに話したくなったら